2012/04/14

映画「核の傷」

4月7日、いささか緊張と、高揚した気分で渋谷に着いた。
映画「核と傷」が渋谷UPLINKにて上映、そして、元軍医で広島原爆の被曝者でもある、内部被曝問題にお詳しい肥田舜太郎氏の講演が映画鑑賞後に聴けるからだ。

鎌仲監督との共著『内部被曝の脅威』を読んだ。内部被曝に関して非常に解りやすい本だった。
そして、ユーストリーム等でも何回か講演やインタビューの模様を拝見していた。
95歳とは思えないはつらつとしたお元気さ。そして鮮烈で衝撃的な広島原爆のお話・・・
特に、ABCC(アメリカが放射線被害調査の為、広島と長崎に設立した医療機関)のお話はいつ聞いても背筋が凍る。 映画の中でもその事を赤裸々に語られている。

映画の中で肥田氏は、原爆投下はソビエトに対する威嚇と、
「人体実験だった」という。そして証拠の一つとして投下した時間を上げている。
広島市にいる人間が屋外に多くいる時間、それが何時なのか毎日偵察していたという。
そしてそれが朝の8時15分だった・・・
そして原爆投下後すぐにABCCが設立された。

ABCCは、次々と訪れる患者の「調査」はしたが、治療はしなかったという。
治療を行う事は、謝罪に繋がってしまうからだ・と氏は言う。
どういう事が行われたかは、ぜひ映画を観て欲しい。
私は、それを間近に見てきた氏の話と、数々の生々しい映像に、一瞬目眩を覚えたほどだった。
思わず目をつむった瞬間もあった。それほどの衝撃的だった。
氏は言う。
「放射線影響研究所(元ABCC)を訪れる修学旅行生達が「アメリカがここで正義を行った。原爆の被害者をこの施設だけが診察した。」と講義を聞く事が「悲しい」・・・と。

「科学を名乗った権威ある集団が嘘をついたというのが、僕には許せない。」

しかし、そういう歴史が、教科書に掲載され教室で語られるという事は私自身経験がないし、
これからも難しいだろうと、私は感じる。

・・ABCCの話を聞くと、同じ様な事が今日でも行われてはいないだろうか・と不安に思う。
福島で子供達にガラスバッチが配られたり、放射線管理区域(年間5.2ミリシーベルト)に相当する場所での生活を余儀なくされている。首都圏にある高線量域(ホットスポット)であっても、本格的な除線(本質的にはセシウムを移動させるだけなのでい移線だが)もされず、いまだに大勢の人が現状を知らないまま、あるいは知らされないまま、普通の生活を営んでいる。
食品の検査体制もずさんで、たびたび基準値以上(4月からの食品新基準は100ベクレル)のものが出荷・消費されニュースになる。先日も保育園での給食に入っていたシイタケ(1400ベクレル)が問題になっていた。それでも、「視聴率が取れない」とふむのか、または経済界の顔色を見ているのか、まだまだ世論形成への影響力が強いテレビにおいて、食品における内部被曝の影響や脅威についてはことさら語られず、十分な知識や危機意識がいまだに人々に備わっていないと感じる。


・・この映画は2006年にフランス人監督が製作したドキュメンタリーだ。
これを観た後、原爆投下から67年経った今でも、政府の対応が何も変わっていない事を痛感するだろう。
そこで思う事がある。以前YouTubeでみた写真家・樋口健二氏の原発労働者の隠された実態を暴いたドキュメンタリーもイギリスの製作だった。こうした骨太で勇気ある作品が民放レベルで作成され放映されるようになれば、この国のあり様も、人々の意識も、もう少し変わるような気がしてくる。



映画「核と傷」公式サイト