Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2011/08/28

ミツバチの羽音と地球の回転

率直に感じたことを言えば、
「生きる」とは、こういうことだよな、ということ・・
そして原子力=核は、まるで生物全ての頂点に立ったかのような人間のエゴそのもの、
生命・生きるものすべてと、全く相容れない代物だ、ということ・・

祝島・・およそ500人の人々が暮らす島。高齢化、過疎の著しい島。
28年前に、島のまっ正面にある田ノ浦に上関原発の建設計画が持ち上がった時から、
島の人々はずっとずっと、戦ってきている。

私より遥かに年上のおばちゃん達が、「原発反対!」のハチマキをしめて、
大きなのぼりを担いで、雨の中でも、長時間でも、
原発を阻止しようと頑張っている姿に、
今までの私達の享楽に満ちた生活が、
その陰で苦悩し、戦う人々の上に成り立っていたこと、
そして、それは今日も続いているということに、
また、今まで自分が知らなかった・知ろうともしなかったことについて、
悲しみと苛立ち、苦しみが交差した。

島で一番若い青年は、ある日こんな問いかけを電話で受けた。
「祝島の人々はなんで原発にあんなに反対するんだ?」
この問いに、青年は「自分達の生活や暮らしを、守る為です」と答えた。
至極まっとうな返答だと思う。
しかし、電話の主に、そんなものの為に沢山の人に迷惑をかけて恥しくないのか?
と返されたという・・
そうだろうか?「生活や暮らし」は「そんなもの」だろうか?
だとしたら、私達の生活も「そんなもの」であり、「そんなもの」の為に、
原発事故を起こし、国中を暗澹とさせている。
それは、「迷惑」どころではなく、もはや「犯罪」ではないのか・・

また、中国電力が土地の埋め立てを強行突破しようとして、
漁師達が猛反発し、船を連ねて抗議をした時に、投げつけた言葉は酷過ぎた。
「第一次産業だけでこの島がよくなるとお思いですか?
人口は年々減っていて、お年寄りばかりの町になる・・・
このままでは上関町は衰退していくばかりですよ」
だから我々は貴方達の雇用を産み、若者を島へ呼び戻す救世主です・とでもいいたいのだろうか?
原発から絶えず放出される温水や、立地の為の埋立てによって地形が変化することで、
海の生物多様性が失われ、豊富な海が死に、
果ては島民の生活や、生きる糧の全てを失わせること自体が、
島を「衰退」させるのではないか?

ビワの実に大切そうに袋をかぶせながら、青年は言った。
「まえに原発推進派の人にビワだけで食っていけるわけがないだろう、と言われた。
・・・ビワだけで食っていけるとは言わない。この祝島で、全体で生きていく」

本当の豊かさとは、何だろう?
キラキラと光るネオンに、24時間体制の店、レストラン、テレビの中の渇いた笑い、
捨てる程にあふれたモノ、物、もの・・・

一方で、足るを知る生き方を、脈々と選択していく人々。
自分のできる範囲で慎ましく、子を育てながら、老人をいたわりながら、
自然を愛しみながら、感謝しながら生きる人々。

私達は、そろそろ真剣に「豊かな暮らし」を考える時期に入ったのではないだろうか。
うわべだけの豊かさは、かえって人間の魂を貧しくする。


祝島の人々、そしておばちゃん達が一生懸命守ろうとしているのは、
島だけではない。
「生きる」権利、そして「生命」そのものだと思う。
私達人類全体の為に戦ってくれているといっても過言ではないと思う。
そして未来への責任を、切ない程に尽くそうとしている。
綺麗な海を、空を、大地を、島を後世に残したい!残さねば!
という強い思いが一丸となり、強固な絆となっている。
それが、上っ面だけで「絶対安全、絶対海はよごれません」などと「言わされている」人々とは全く異なり、敵わぬ点だろう。
どちらの魂が澱んでいるか、崇高な程に輝いているか・・一目瞭然だと思う。


甚大な原発事故が起きた今、
そして今も収束がつかず、深刻な状態が続いている今だからこそ、
「生きること」そして「命」を一番に大切にするエネルギーの選択は何かを真剣に考えたい。
一部の権力や組織が私達の未来の行く末をにぎる世界は、もう嫌だと、心底思う。
心「豊かに」、魂が「崇高に」生きられる世界に向かって、
たとえ小さな羽音でも、考え続け伝えていきたいと思う。

『ミツバチの羽音は、地球の回転にさえ影響を及ぼしてるかもしれない』
私達1人ひとりの思い=羽音が、やがて国を、世界を動かしますように・・・

 鎌仲ひとみ監督に頂いた言葉・・「心つなげて!」をお守りに。。