Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
上記をクリックするとKyonイラストのホームページとなります。ぜひご覧ください。

2010/06/23

映画の話「愛のむきだし」

最近観た映画の話です。
「愛のむきだし」という4時間の大作を観ました。
それまで気にはなっていたのですが、
考え深いタイトルとその長さにずっと躊躇していました。
(これは腰を据えて見ないといけない)

しかし、見始めると同時に、
タイトルの割に意外とポップでテンポも絶妙な感じに進み、
人間の「心」の深部にまで及ぶ題材を扱っているのに解り易く、
しかし濃厚に細密に展開していく、その物語にぐんぐん引き込まれ、
4時間という長さは私は感じませんでした。

人の人格がどのように不可抗力の中で歪み、
妥協と許容の狭間で変容していくのかを痛烈に感じ、
このようなコンプレックスは、
種類は違くても根っこの部分で同じようなものが、
誰の心の中にでもあるのではないかと思うと、
人は本当に深いものだし、大変な中で生きているのだと思いました。

また人が「愛」によってどのように救済されうるのかも、
切なく苦しい程に表現されていて、
人(愛)によって人は傷つくけれども、
また人(愛)によって救われるという、、
一見単純なセオリーのようだけれど、
人間の人生の「元型」のような、
かけがえのない大事な部分を再確認できたように思います。

最後の30分の間に、化粧が全部落ちる程に一気に号泣してしまいましたが、
それは悲しいとか切ないとか、「感動した」などというような解り易い感情ではなく、
もっと心の深層のさらに奥深い所が共鳴して、
あふれ出てきたようなものに感じました。
それは透明で甘美な涙とは質の違う、
もっとどろどろとしたもので、
映画の内容から借りれば、「血の涙」のようなものだったかもしれません。