東京で見る雪は、幼い頃と比べると、随分と日数も量も減ったなあと感じます。
小学校の頃は、もう12月には校庭一面に雪が降り積もって、
翌朝に皆で雪合戦をした記憶があるのに・・
ワサビは雨が好きなようです。
雨音が心地よいのでしょうか、雨の降る日は興味深そうに窓から外を眺めています。
本日のこの雪も、珍しそうに眺めています。
生まれてまだ数回しか見た事のない雪です。
猫は動く物がコマ送りに見えているといいますが、
ひらひらと舞い落ちる雪も、きっとそのように面白く映っているのでしょう。
猫は、そしてそれ以外の動物もそうでしょう、
決して人間より下等なものとはいえない気がします。
ワサビと暮らすようになって、ますますそう思うようになりました。
確かに感情や知能、思考能力は劣るのでしょうが、
それでも、嗅覚や視力は人間よりも優れているし、
身体的な能力も驚くものがあります。
感情もとてもシンプルな構造だと聞いていますが、
それでも、好きとか嫌いとか、垣間見る優しさなど、
複雑な感情もちゃんと備えているように思います。
そこにふと触れる時、心を洗われる思いです。
人間のように裏表や邪心を持つ事も無く、無垢で無邪気な所も、
純粋なものに疎遠がちになる生活の中では、
澄んだオアシスのような輝きがあります。
ワサビに接する事で、自然と笑顔も生まれてきます。
私たちはこの子にどれだけ、助けられているか知れません。
そんなかけがえのない存在なだけに、
いつか来る別れを思うと、とても苦しくなります。
それでも一緒に過ごせる10年から20年の時は、
ワサビの存在によって、
まったく違う魅力に満ちた日々になることは間違いないだろうと思います。
今夜の雪が描く、美しい雪化粧も、明日には太陽に連れられて、
幻のように、消え去ってしまうのでしょうか。
東京の雪は、本当に儚い夢のように変わってしまいました。
それでもやはり白く美しい雪景色は、
モノクロームの世界観とシンクロし、心を魅了します。