Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2010/01/01

四季

大晦日前に借りていたDVDが残り1本となってしまいました。
思ったより余力があって1日に数本見てしまいます。
大晦日に見た映画は実話に基づいたシリアスな作品で、見た後に涙が出ました。
悲しいとか可哀想という感情ではなく、自分の無力さ、
現実を知っても、知ること以外に何も出来ない不甲斐無さに心が震えました。
この同じ星の下で、新しい年が明けても、
様々な「現実」に直面している人々がいます。
こんな考え方は不謹慎かもしれませんが、
暖かい部屋で大好きな絵を描ける私は贅沢すぎる、とも思ってしまいます。

前職の時は、年末年始のこの時期が一番忙しく、
お正月休みも無いに等しかったので、
こうして普通に休んでいるのが、何だかとても悪いような気がしてしまいます。
町に行くと、様々なお店で必死に働いている方々を見ると、
昔の自分と重なって苦しくなり、そのご苦労を思います。

人生は紆余曲折で「四季」があるように思います。
仕事に没頭していた自分は、体裁上、あるいは経済的には今より豊かだったが、
自分自身の心の中はというと、いつも自分の真ん中がもぬけの殻で、季節に例えれば冬だった、と思います。
それが今は逆さなだけなのかもしれません。
記憶は残念ながら、喜怒哀楽の極端な場面をスクラップしているだけですが、
穏やかな春や秋のような日々は、
静かな旋律となって、心の片隅で優しいメロディを奏でているような気もします。
それが私の救いでもあります。
極端な日々など本当はいらない、今は普通であることが大切で、
絵を描く時間と心の余裕さえもてれば、それが幸せです。
しかし、それさえも贅沢すぎるのでは?と自問自答せざるを得ない現実が、
この世には沢山あるのも事実です。

自然界に春夏秋冬があるように、
人の世にも四季があり、人の人生にも四季があるように思います。
冬を越せば、命の芽吹く温かな春がやってくると、自然の流れに沿えばそうなるし、
春は必ず来ると、信じたいのです。
そして、昔の日本人が四季折々の美を愛でたように、
冬の寒さの中にいても、一面の銀世界に心を揺さぶられるような 、
夏のうだるような暑さの中にいても、キラキラと輝く海を見たときに心が躍るような、
そんな感性を持ち続けていけたらと、願います。