Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2009/12/26

猫道

職場に「カブ」という雄のブチ猫がいます。
もう8才近くになりますから身体も大きく堂々としたもので、
お客様が来ていても、どんと寝床から離れません。
騒がしく忙しくしていても、ぐっすりと寝ているその姿を見ると、
多少のイライラなど吹っ飛んでしまいます。
カブくんが、心の中の通り雨にそっと傘を差し出してくれているようです。

猫はどんな良い子でも「いたずら」をします。
ワサビはとてもおとなしい子ですが、
食卓に置いてある魚を舐めてしまったり、
テーブルの上に乗って、知らずのうちにペンや消しゴムを落としていたりします。
カブちゃんもたまに忙しくしていると、ちょっかいを出してきます。
ノートの上にドスンと寝転んだり、
やはりペンや消しゴムを落としていたりします。
遊んでおくれ、とニャアニャア騒がしく鳴いたりもします。
でも、それを見てカチンときたり、怒ったり、イライラしたりしません。
彼らは悪気は無いからです。
無邪気で純粋な行動に、怒る気にはなれません。
 「まあ、いいか。しょうがないや」と思います。
猫を飼うようになって、こう思う事が多くなりました。
一見諦めに似た消極的な言葉に見えますが、
これが硬くなりがちな頭や心をほぐしてくれるようです。
決められたスケジュール通りに行かなかったり、不本意な事を言われたり、
不可抗力で物事が上手くいかない事はままあります。
私の場合、そんな時、ワサビやカブくんの寝顔やいたずらをした後の得意げな顔を思い浮かべて、
「ま、いいか」と思うと、自然と不愉快な気持ちが収まります。
心の葛藤や怒りや苛立ちに、この言葉が上手く折り合いを付けてくれるようです。
もちろん、そんな投げやりではいけない事もありますが、
日常に起きる些細な不愉快は、
さらりとかわしてしまった方が良いと思います。
猫達の気まぐれにいちいち怒っていては彼らと上手くいかないのと同じように、
人と人とが関わって色々な道が出来上がっていくこの世界で、
些細な進路変更は、むしろ面白がって進んでいけば、
今までと違う景色に出会えて、
それはそれで前に進んでいけるのではないかと思います。

心の中の小さな猫道を、
愛猫達に導かれて歩いてみたいと思います。