Kyon {Silence Of Monochrome}

Kyon {Silence Of Monochrome}
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2009/11/17

最初の出会い

シュルレアリスムの巨匠マグリットに出会ったのは、小学生の頃。
その知的で幻想的で、非現実なのにとても現実的に見えた不思議な世界は、
当時の私の心象を静かに代弁してくれているようでした。

その後、「ビアズリーと世紀末絵画展」でビアズリーやハリ―・クラークと出会い、
衝撃を受けるとともに、その妖艶なのに洗練された美しい魅力に、
どんどん引き込まれていきました。
それと同時に、懐かしい香りが脳裏に蘇えって離れませんでした。

マグリットと出会うもっと以前、
小学生低学年の頃だったかもしれません。
母の物で赤い布張りの、横溝正史の本が当時のお気に入りでした。
「悪魔の手毬唄」だったと思います。
中でもその挿絵が見事で、ペンで細密にかかれたそれは、
今思うと、ビアズリー等に影響を受けた日本挿絵画家のイラストだったのかもしれません。
内容もさることながら、その挿絵を毎日眺めては、
なんて美しい絵なんだろう、とうっとりしていた記憶があります。
退廃的でやや怪しげな匂いがするのに、とても美しい絵だったと思います。
その本が今手元にないのが、とても寂しくてなりません。
私の今の画風のルーツは、
その遠い記憶にある、鮮明な赤い布張りの本の中に、
そっと閉じ込められています。